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「新卒採用」の注目ニュース

LGBTQ+に関する職場の意識調査

[2022.12.01]

日本の大企業の社員2.5万人に調査
職場への評価は当事者と非当事者間にギャップあり
職場での困り事として「人事評価への影響懸念」などの声も

 

日本国内の企業・団体のLGBTQ+等の性的マイノリティ(以降、LGBTQ+)に関するダイバーシティ・マネジメントの促進と定着を支援するwork with Pride 2022 実行委員会(事務局:認定NPO法人グッド・エイジング・エールズ)は、LGBTQ+に関連した職場・制度への意識調査を実施。実行委員会への参画企業の従業員、約25,000名に対して行った調査の速報結果を、公開いたします。尚、『PRIDE指標2022』の各受賞企業・団体リストや全体総評、経年変化の状況などの詳細レポートは、12月以降での公開を予定しております。
 

【調査について】

work with Pride 2022 実行委員会は、参画企業で働く従業員の現状の傾向を把握すること、また、当事者の生の声を収集し示唆や気付きを得ることを目的に調査を実施しました。参画企業内にとどまらず、日本のLGBTQ+の職場環境の整備に向けて、国内の他企業にとっても参考の一助となるよう調査結果を公開いたします。

調査に参加した20の企業グループの従業員を対象に、任意参加という形でアンケートへの参加を呼び掛けたところ、有効回答数は25,048となりました。以下、「LGBTQ+に関する知識・意識」「自分の職場に対する評価・期待」「LGBTQ+当事者の声」という3つのパートからなる調査結果のサマリーをご紹介します。
 

■LGBTQ+の問題や不平等に対する取り組みに関心があるのは6割

「あなたは、LGBTQ+の人たちが直面する問題や社会の不平等を解消しようとする取り組みに関心がありますか」という質問に対して「とても関心がある」もしくは「どちらかというと関心がある」と回答した人の割合は、全体で59.4%と約6割になりました。年代別で見ると、10代・20代の若年層で高く、職位別で見ると、「経営者・役員」で高い結果となりました。
 

■75%が「サポートしたい気持ちあり」と回答

次に、「LGBTQ+を積極的に支援し、行動する人のこと」と定義した上で、「あなたはご自身のことを「アライ」だと思いますか」という質問を実施したところ「アライ」が9%、「行動はしていないが、LGBTQ+をサポートしたい気持ちはある」まで合わせると、75%という結果になりました。あくまでも回答者に占める割合のため、全社員の割合に当てはめることはできませんが、少なくとも一定数(約19,000人)は当事者を積極的に支援したいという気持ちはあるということが分かりました。この層の社員に対して、企業側が行動を起こす契機を提供することによって、より良い職場づくりができるのではないかということが考えられます。
 

■「普段行っていること・心がけていること」は差別語の不使用。一方で無関心層が多いのも課題に。

「あなたが普段行っていること・心がけていることがあれば、すべて選んでください」という質問では、「「ホモ」「レズ」「オカマ」という言葉は避けるようにしている」というものが、48.7%で一番回答率が高い結果となりました。差別語の不使用は約半数の人が心がけているものの、「パートナー」などジェンダー中立的な言葉を使うようにしている人は、12%に留まりました。一方で、「特になし」という回答が44%と多く、無関心層が多いことも示唆されてました。
 

■同性婚の法制化(婚姻の平等)の賛成は7割。

同性婚の法制化(婚姻の平等)についての賛否に関する質問では、「賛成」もしくは「どちらかといえば賛成」を選択した方は66.2%いました。こちらは年代別で見ると、10~30代で高く、7割を超えています。


■職場への評価は当事者と非当事者にギャップあり。
パート2では、「自分の職場に対する評価・期待」に関する質問を実施しました。(※全回答者の平均値ではなく、各企業の平均スコアを算出し、参加企業のスコアの単純平均値を使用しています。)

「あなたの職場について、評価をお聞かせください」という質問では、「そう思う」もしくは「ややそう思う」の回答率が高かったのは「企業のトップがダイバーシティ&インクルージョンに関するメッセージを発信している」で、75.9%となりました。一方、「LGBTQ+の人たちが働きやすい職場だ」「安心してカミングアウトできる雰囲気がある」はそれぞれ、44.8%、32.9%と、比較的低くなりました。

また、同じ質問に関して、LGBTQ+当事者と非当事者で比べてみると、全項目について、LGBTQ+当事者の回答者の方が、非当事者よりも評価が低く、企業への評価にギャップがあることがわかりました。
 

■LGBTQ+当事者への質問
LGBTQ+当事者の回答者のみを対象としたパート3では「あなたの職場では、下記の制度・サポートは利用しやすい状況ですか。それぞれの項目について、あなたのお考えをお知らせください。」という質問を実施。それぞれ「利用しやすい」も「利用しづらい」も同程度の量の声がありましたが、「存在しない/あることを知らない」がやや高くなる結果となりました。せっかく制度があっても、その情報にアクセスしづらい状況があるのではないか、ということが伺えます。
(※LGBTQ+の当事者としてアンケートに協力いただいた方は830人。本調査のLGBTQ+当事者の割合が、これらの企業の全従業員におけるLGBTQ+当事者の割合ということではありません。)

また、前問で「利用しづらい」を選択した人に、その理由について質問をしたところ、もっとも多かった回答は約6割が「どの範囲まで自分の性自認や性的指向が開示されるかわからなかったから」、次いで約5割が「制度利用にあたり、カミングアウトする必要があったから」となりました。このことから、カミングアウトがハードルになっており心理的安全性の確保が課題となっていることが分かりました。人事部門など必要最低限の担当者のみ情報を取り扱う、と明示して制度を運用している企業が多い中、上司や同僚に情報が共有されてしまうのではないか、という恐れがあるのかもしれません。


■職場での困りごとは「異性愛中心主義や性別二元論」。
■その他、人事評価への影響懸念や「そっとしてほしい」という声も。

次に「あなたが職場でお困りのことはありますか」という質問で、最も多かった回答は「何でも異性愛や性別二元論を前提としていること」で37.5%、続いて「異性愛者のフリをするなど、プライベートのことが話しづらいこと」、「LGBTQ+が笑いのネタになること」「自分が安心して相談できる人が職場に見当たらないこと」となりました。一方で、「特になし」という人は35.8%でした。
その他、フリーアンサーでは、「入社前の私の知らないところでアウティングされていたこと」「人事評価に影響があるのではないかという心配」「同性パートナーを想定した商品を作らないこと」「基本そっとしてほしい」「男性社員として産休を取得することになった場合迷惑だと思われないかということ」などがありました。


■「LGBTQ+当事者として企業に伝えたいことはありますか」という質問に様々な声。

最後の質問では「LGBTQ+当事者として企業に伝えたいことはありますか」とフリーアンサー形式で実施。その結果、「L/G/B/T以外の性のあり方への理解」を求める声がありました。アセクシュアル、アロマンティックの方からは、「すべての人が恋愛感情をもっているという前提で話さないでほしい」「L/G/B/T以外も研修で触れてほしい」、またノンバイナリー、Xジェンダーの方からは、すべて男女の二元論でわけないでほしいといった声がありました。

その他、回答の一部を抜粋・要約を下記に紹介します。

◆制度・福利厚生の拡充に対する期待として

「同性カップルに対する福利厚生の充実化を図ってほしい。現状では同性のパートナーと共に転勤や社宅の利用ができない為、ライフプランが立てにくいと感じる。」

◆民間企業として社会への働きかけを期待として
「法や制度が整備されていなくても、少なくとも会社には包摂してほしい。」「大きい企業なので、同性婚に賛成し、それを表明してほしい。」
「当事者にとって生きやすい会社でいてくれることが、この会社で働く大きな理由になっています。会社からLGBTQフレンドリーであるという声明を出してくれていることが当事者としては大きな心の支えです。」
といったLGBTQ+フレンドリー企業としての姿勢が入社の動機となった声などが寄せられました。

■調査結果からの3つの示唆

今回の調査結果から、
①従業員に届く、LGBTQ+の理解促進の取り組みをおこなう
②「宣言・制度導入しただけ」にならないために、その先のアクションが重要
③LGBTQ+当事者の中の多様性を認識する

という3つの示唆が導かれました。
 

◆本調査に関するお問い合わせ:
work with Pride事務局(E-mail: contact@workwithpride.jp)
調査実施: work with Pride 2022実行委員会
分析協力:電通総研
集計協力:電通マクロミルインサイト
 


◆本調査の詳細は、こちらをご覧ください。
(認定NPO法人グッド・エイジング・エールズ(work with Pride事務局)/11月10日発表・同法人プレスリリースより転載)

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