「新卒採用コンサルティング」とは
企業経営を支える、もっとも重要なリソースといえる「人材」。採用コンサルティングを極めてシンプルに説明するならば、その人材の「採用」を成功させるための各種提案を行うサービスといえるだろう。
しかし、どのような人材の採用を目指すのか、また、その人材を採用して企業をどういった方向に持っていくのかは、まさに企業の経営方針そのものである。特に新卒採用は、中長期的な経営の観点から、組織の中枢を担う人材との出会いの場と位置づける企業も多い。一口に「採用を成功させる」といっても、採用コンサルティングは、テクニカルな業務レベルでのサポートだけでは不十分だ。クライアントの企業理念や経営戦略などを十分に踏まえた、「戦略的な採用の提案」を行うことが求められる。
さらに、採用活動やその結果を通じて、企業全体の組織活性化、業績向上などを実現する「経営コンサルティング」としての効果を期待されるケースも増えている。企業が良い人材を採用する目的は、ほとんどの場合、業績アップや組織の強化。採用コンサルティングは、そうした企業の経営上の目標を実現するための採用成功を実現するサービスへと進化しつつある。
採用コンサルティングには、新卒採用と中途採用を扱うものがあるが、ここでは新卒採用に絞った形で説明していきたい。以下、簡単に「新卒採用コンサルティング」の特性を整理してみよう。
新卒採用コンサルティングの特性
1)変化の大きい新卒採用市場に対応
新卒採用は、毎年のトレンドの変化が非常に大きい市場だ。景気の動向によって企業の採用規模は変動しやすく、学生数や教育内容、学生の気質なども年々変わっていく。それらの情報をいち早く入手し、的確に分析、対応していく必要がある。しかも、新卒採用は一年をワンサイクルとするため、どこかでつまずくと翌年までリカバリーがきかない一発勝負でもある。新卒採用コンサルティング会社は、人事部だけでは難しい新卒採用に関する情報収集、情勢分析、対策立案、業務効率化などに強い専門家集団として、的確なアドバイスを期待される存在だ。
2)ニュートラルな提案が可能
新卒採用関連の各種サービスを取り扱う企業でも、新卒採用市場の動向に関する情報を提供している。しかし、ソリューション提案という面から見ると、どうしても自社のサービスや商品を活用する提案が主体になってしまう傾向がある。その点、提言やアドバイス自体を主力サービスとする採用コンサルティング会社は、新卒関連サービスをすべて俯瞰する立場から、ニュートラルな戦略・戦術の提案ができることが強みだ。
3)採用成功までの徹底的なコミットも
採用戦略を提案するだけでなく、採用プロジェクトの進捗にあわせて、面接・選考に関するアドバイス、内定出しの順番や説得のためのツール作成、面接官やリクルーターのトレーニングなど、実務に近いレベルまで踏み込んで支援するコンサルティング会社が増えている。中には、提案+実行力(アウトソーシングなど)という形でサービスを提供するケースもある。こうした採用コンサルティング会社は、クライアント企業との二人三脚で採用成功までコミットしていく。
4)先進的な採用手法の研究・開発
時代背景に即して新卒採用のスタイルや手法も変化する。採用コンサルティング会社には、現状にどう対応するかを提案するだけでなく、「今後どうあるべきか」という視点で新たな採用スタイルや手法を研究・開発しているところも多い。採用や人事組織面で先進的な取り組みを行っていきたい企業にとって、そうした採用コンサルティング会社は絶好のパートナーとなるだろう。
5)人事組織、経営全般の中に新卒採用を位置づける
「社員の意欲が低下しているのではないか」「業績が思ったように伸びない」。こうした経営課題に、フレッシュな人材を投入して対応することは十分に可能だ。しかし、単に新人を採用しても組織自体に問題があれば、うまく定着しない可能性が高い。また、それ以前に優秀な人材から、魅力的な職場とは思ってもらえないだろう。そのため、新卒採用と組織や業務の変革は、ワンセットで行う必要がある。自社内だけで、あるいはその他の新卒関連サービスを利用することで、この課題に立ち向かうことはかなり難しい。採用コンサルティングの専門企業が、大いに力を発揮する場面といえるだろう。