「新卒採用コンサルティング」の活用準備
トップを含めた社内の意思統一
採用コンサルティングを利用するにあたって、まず重要なのは「トップを含めた社内の意思統一」だ。何のために採用コンサルティングを利用するのか、その目的を明確にし、全社で共有していくことが欠かせない。
なぜなら、新卒採用が成功するためには、学生が働きたいと思える魅力的な組織、職場であることが重要であり、そのためには組織や業務そのものを変革しなくてはならないケースも出てくるからだ。
もちろん、最終的にコンサルティング会社の提言に沿って変革を行うかどうかは経営的な判断になってくるが、トップや各部門などが現状を変えることに最初の段階で抵抗感を示してしまうと、せっかくの提言も効果が限られたものになってしまうだろう。
また、実際に採用計画が動き出した場合、面接やリクルーター、インターンなどで各部門の協力は不可欠だ。「忙しくても採用には最大限協力する」という意思統一を、できれば経営トップ主導で行っておきたい。
また、コンサルティングには一定の費用がかかるということも、十分認識しておく必要がある。一般に取り扱うサービスや商品を「コンサルティング営業」としている会社の場合、さまざまな提案業務にもそれによる費用の発生は特にない。それは「提案料」があらかじめサービスや商品の価格に含まれているからだ。しかし、コンサルティングの場合は、提言やアドバイスそのものが商品だというところが大きく異なる。
評価ポイントの設定
採用コンサルティング導入の目的は当然「採用成功」だが、何をもって成功とするのかをあらかじめ決めておき、コンサルティング自体を評価する体制を作っておくことは重要だ。
成功の基準は、採用人数だけでなく、人材の質、内定率や内定辞退率といった結果や、さらには採用プロジェクトをいかに効率化できたか(予算や会社説明会、面接回数は適切だったか)といったプロセスなどが考えられる。
また、中長期的には、入社した人材の定着率やその後の育成、業績(パフォーマンス)などが期待通りだったかどうかを見ることも必要になるだろう。さらに、新卒採用によって組織のリフレッシュや企業業績アップなどを期待している場合は、それらも含めて評価ポイントにしていくべきである。
こうした評価ポイントは、採用コンサルティング会社とも共有し、同じゴールに向かって協力していくことが重要となる。獲得目標や優先順位を明確にすることで、コンサルティング会社も効果的な提言をしやすくなるからだ。
そして、コンサルティング会社が期待した効果をあげなかった場合には、別のコンサルティング会社に相談するなど、思い切ったテコ入れをしていく必要もあるだろう。
契約内容の十分な確認
契約前にはしっかりした見積もりをとり、予算とすりあわせていくことが必要だが、この時に注意すべきなのが、サービス内容の精査だ。採用コンサルティングには決まった形があるわけではないので、同じ言葉(たとえば「採用戦略の立案」)を使っていてもそれがまったく同じサービスであるとは限らない。何をしてほしいのか、何ができるのかをある程度細かく詰めていく作業は欠かせないだろう。
また、コンサルティングはアウトソーシングとは違うサービスなので、アウトソーシング的な実行段階まで含んだサービスを望んでいる場合には、そのことも明確に伝えておく必要がある。コンサルティング会社でアウトソーシング部門を持つ会社もあるし、提携しているアウトソーシング会社を紹介される場合もある。
時間的な余裕を持つこと
採用コンサルティングは、対症療法的にテクニカルなアドバイスを行うサービスではない。逆にもっとも上流といえる戦略立案の段階で活用してこそ、真価が発揮されるサービスだ。そのため、採用戦線が活発化してから依頼しても、時間的な制約があると限定的な効果しか期待できないだろう(もちろんプロなので、与えられた条件の中でベストは尽くしてくれるはずだが)。
一般的には、入社予定の2年くらい前から相談していくべきだといわれている。十分な時間的余裕を持って採用成功につなげていきたいものである。