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倫理憲章
[リンリケンショウ]

正式には「新規学卒者の採用・選考に関する倫理憲章」と言います。「就職協定」に代わるものとして日本経団連が中心になって定めた新卒者の採用活動に関するガイドラインです。

倫理憲章のケーススタディ

新卒者の採用活動の早期化にクギ<br />日経連加盟の半数の企業が賛同

かつて、会社説明会や会社訪問の開始時期を定めるなどして、新卒者の採用・就職活動の、とくにスケジュール面における一定のルールとなっていたものが「就職協定」です。

就職協定は、大学、日経連、文部省、労働省を中心とする「就職問題懇談会」によって1953年に作られたのが最初でした。しかし、罰則規定のない紳士協定だったために守らない企業が続出し、また、すべての企業が参加したわけでもなかったため、その後、廃止や復活、内容の変更を繰り返し、結局、1996年に廃止されてしまいました。

しかし、新卒者の採用・就職活動をめぐって全くルールがないのもいかがなものかということになったのでしょう。1997年度の採用活動から登場したのが、日本経団連が中心になって定めた「倫理憲章」です。以来、これが新卒者の採用・就職活動に関する一応のルールあるいは目安ということになっています。

ただし倫理憲章は当初、就職協定を強化したものではなく、ほとんど精神的な戒めという感じのものでした。「大学等の学事日程を尊重する」「採用選考活動の早期開始は自粛する」などの表現がほとんとで、具体的にスケジュールに言及しているのは「正式な内定日は10月1日以降とする」という部分だけだったのです。

ところが、2003年の改定、つまり2004年の採用・就職活動に関する倫理憲章で「卒業学年に達しない学生に対して、面接など実質的な選考活動を行うことは厳に慎む」という一文が盛り込まれました。多くの企業が2〜3月に大学3年生を対象に採用活動をスタートさせ、4年生になった4〜5月には内々定を出す状況の中、大学4年生になる4月1日以前の選考は行わない、ということにしたのです。しかも、これに日本経団連加盟企業の約半数に当たる644社の企業が賛同の意思を表しました。

むろん、加盟企業の約半数とはいっても、644社という数字は日本全体の企業数から見れば多くありません。そもそも日本経団連に加盟していないところもたくさんあります。そのため、2004年の採用活動では、全体として大きな変化は見られなかったようです。

しかし、この一文は2004年の改定、つまり2005年の採用活動に関する倫理憲章にもそのまま盛り込まれました。採用・就職活動のこれ以上の早期化は、企業にとっても学生にとっても望ましいものではない、ということです。果たして、採用・就職活動に一定のルールやパターンができ、早期化にクギをさすことができるのか、それともやはりかつての就職協定のように有名無実化してしまうのか、倫理憲章の今後が注目されるところです。

企画・編集:『日本の人事部』編集部

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