ポジティブ・アクション
[ポジティブアクション]
Positive Action。積極的格差是正措置。男女間の差別を解消して、働く意欲と能力のある女性が活躍できるように、企業が自主的に行う取り組みのことです。
ポジティブ・アクションのケーススタディ
意欲・能力のある女性を積極的に登用<br />具体的な数値目標を掲げている松下電器
女性管理職がほとんどいない、あるいは女性営業職が少ないなど、日本の多くの企業では男女間に依然として差があります。お茶くみは女性の仕事として女性のみにさせるなど、男女間の役割分担意識に基づく慣行が残っているのも事実です。しかし男女雇用機会均等法を強化・充実させた改正均等法が1999年4月に施行され、女性が性により差別されることのないよう人事管理や雇用環境の是正・整備への取り組みが企業に求められています。
そんな状況の中、男女間を問わず能力のある人材を登用する方針を打ち出す企業が増えてきました。中堅地銀の池田銀行(大阪府)は、昨年度までの5年間で女性の課長級以上の役職者が5倍に増え、従来は男性が占めていた資産運用や法人向け融資部門にも女性が配置されるようになりました。家電大手の松下電器産業は「松下版ポジティブ・アクション」を策定し、意欲や能力のある女性を積極的に登用するための具体的な数値目標を設け、上司や管理職に意欲啓発のための研修を実施しています。
厚生労働省が全国190社のヒアリングを行い、2003年度にまとめた「ポジティブ・アクション取り組み事例集」によると、取り組みの背景(目的)については「女性の能力の有効発揮により、経営効率化を図るため」が79.5%と高く、次いで「職場全体のモラール向上に資するため」(39.5%)などとなっています。取り組みの体制については「人事担当部署が中心となり推進している」が75.3%と最も高く、これに「経営トップ自らがリーダーシップをとり、推進している」(47.9%)が続いています。
性別によって能力や役割を判断するのではなく、意欲や成果に基づいて公正に評価することは、女性従業員だけでなく全従業員の労働意識向上につながります。また、多様な人材が働ける環境をつくることで、多様な個性を持った人材も確保できます。一部には男性従業員に対する「逆差別」につながるといった否定的意見もあるようですが、ポジティブ・アクションは国際的な流れであり、前向きでない企業は社会的評価を下げることになりかねません。経営トップのリーダーシップ、社内のコンセンサスや意識改革、さらには女性従業員自身の努力が望まれます。